SNS広告と薬機法——Instagram・TikTok・X(旧Twitter)別の注意点
「SNSだから少し表現を自由にしてもいいのでは」——そう考えている担当者がいたとしたら、それは大きな誤解です。Instagram・TikTok・X(旧Twitter)などのSNS広告も、テレビCMやランディングページと同様に薬機法・景品表示法の規制対象です。本記事では、SNS媒体の特性を踏まえた薬機法上の注意点を媒体別に解説します。
第一章|SNS広告が薬機法の規制対象である理由
薬機法第66条は「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品(中略)に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」と規定しています。
ここで重要なのは「流布してはならない」という表現です。これはテレビ・新聞・雑誌に限定されておらず、SNSへの投稿・配信・シェアもすべて含みます。投稿の文体が日常的なカジュアルトーンであっても、内容が誇大・虚偽の広告に当たれば規制の対象になります。
また、2023年10月に施行されたステルスマーケティング規制(景品表示法の改正)により、企業が費用を負担してインフルエンサーに投稿させる場合は「#PR」「#広告」の明示が義務化されました。これを怠ると景品表示法違反になります。
第二章|Instagram広告——ビジュアルと文章の両方をチェックする
Instagramは画像・動画と文章(キャプション)を組み合わせた表現が基本です。薬機法上の注意点は、文章だけでなくビジュアルにも及びます。
ビフォーアフター投稿は特に注意が必要です。使用前後の肌状態を並べて見せる画像は、化粧品として許容される範囲を超えた効能訴求と判断されるリスクがあります。「使用前→使用後」の変化を過度に強調する加工写真は、景品表示法上の優良誤認にも該当します。
ストーリーズ・リールでの訴求も同様です。短尺動画の中でテロップや音声で「シワが消えた」「シミが薄くなった」などの表現を使用することは、通常のLP広告と同じくNGです。
ハッシュタグの扱いも確認が必要です。「#シワ改善」「#シミ消し」などのハッシュタグは、タグ単体としての問題だけでなく、投稿全体のコンテキストとして薬機法上の問題訴求の一部と見なされる場合があります。
第三章|TikTok広告——短尺動画ならではの注意点
TikTokは15秒〜数分の短尺動画が中心のプラットフォームです。化粧品広告において特有の注意点があります。
「使ってみた系」コンテンツの過剰表現。「このクリームを塗ったら翌朝には毛穴がなくなってた」「1本使い切る前にシミが消えた」などのリアクション動画は、ユーザー生成コンテンツ(UGC)のような見た目であっても、企業が費用を出してPRしている場合は広告として扱われます。薬機法上の誇大表現の問題が生じます。
音声・テロップ・映像の複合表現。TikTokでは映像・音声・テロップが複合して伝わります。映像で劇的な変化を見せながら音声で「薬機法的にはこういう効果があるとは言えませんが……」と付け加えても、全体的な印象として誇大広告と判断されます。表現は個別ではなく全体で評価されます。
リンク遷移先のLPとの整合性。TikTok広告から遷移するLPの表現についても、SNS広告の内容との整合性が求められます。広告では控えめな表現でも、LPで誇大表現があれば全体として問題になります。
第四章|X(旧Twitter)広告——拡散と責任の範囲
Xは情報の拡散速度が速く、企業の投稿が意図せず広く広まる特性があります。
リポスト(リツイート)による拡散責任。企業アカウントが問題のある表現を含む投稿をリポストした場合、自社の投稿と同様の責任が問われる可能性があります。「他社の投稿をシェアしただけ」という言い訳は成り立ちません。
キャンペーン・プレゼント企画の表現。「フォロー&リポストで当選」のようなキャンペーンを行う場合、プレゼントとして提供する化粧品の訴求が薬機法・景表法に準拠している必要があります。また景表法上の景品規制(上限金額等)も確認が必要です。
文字数制限(280字)内での表現。Xは文字数制限があるため、根拠・補足説明を省いた断言的な表現になりやすい構造です。「一言で言い切る」スタイルが薬機法違反に直結しやすいので、LPへのリンクを明示しつつ、投稿単体では断言を避ける設計が安全です。
まとめ
SNS媒体は広告媒体として確立されており、薬機法・景品表示法の適用範囲外ではありません。媒体特性によってリスクの形は異なりますが、「医薬品的な効能効果を標榜しない」「根拠のない優良表示をしない」「PR表示を明示する」という基本原則はどのSNSでも共通です。
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公開日:2026年 | カテゴリ:薬機法基礎 | 執筆:ライジング・コスメティックス マーケティング戦略室







