Before/After広告と薬機法——許容される表現と問題になる表現の境界線
化粧品広告においてBefore/After表現は訴求力が高く、LP・SNS・動画広告で広く使われています。しかし「使用前と使用後を並べて見せる」というこのフォーマット自体が、薬機法・景品表示法の観点から非常にデリケートです。「どこまでがOKで、どこからがNGなのか」——本記事では、Before/After広告の境界線を具体的に整理します。
第一章|Before/After表現がなぜ問題になりやすいのか
Before/After表現が薬機法上の問題になりやすい理由は、その見せ方が「劇的な変化・治療的な効果」を強く印象づけるからです。
化粧品に許容される効能は「作用が緩和なもの」という定義のもとで56種類に限定されています。ところが、使用前のくすんだ肌と使用後のつるつるした肌を並べて見せるだけで、消費者は「この化粧品を使えば自分もこうなれる」という強い期待を持ちます。その期待が「医薬品的な治療効果がある」という誤認につながりやすいのです。
景品表示法の観点からも、Before/After写真は「優良誤認表示」の典型として注視されています。実際の使用結果と著しく異なる加工・演出を行った写真を広告に使用することは、同法に違反します。
第二章|薬機法上「許容される」Before/After表現
すべてのBefore/After表現が禁止されているわけではありません。以下の条件を満たす場合は、使用できる可能性があります。
変化の内容が56種類の化粧品効能の範囲内であること。「乾燥による小じわを目立たなくする」「肌にうるおいを与える」「毛穴を引き締める」など、認められた効能の範囲内での変化を示すものは許容されます。「シワが消えた」「シミがなくなった」という変化を示すものはNGです。
写真の変化が実際の使用結果と一致していること。モデルの肌の変化が、実際に当該製品を使用した結果であることが必要です。照明・メイク・画像加工によって実際以上の変化を演出することは、景品表示法上の優良誤認に当たります。
写真に補足説明(注釈)を付けること。「個人の感想です」「効果には個人差があります」という注釈は必須ではありませんが、消費者の誤認を防ぐうえで有効です。ただし注釈を付けても、写真自体が誇大であれば問題は解消されません。
第三章|問題になりやすいBefore/After表現のパターン
現場でよく見られるNGパターンを整理します。
パターン1:過度な照明・撮影技術による演出。使用前の写真をわざと暗く・くすんで見えるように撮影し、使用後を明るく・つやつやに見えるように撮影することで、実際の変化以上の差を演出するケースです。消費者が見たとき「実際の使用結果である」と誤認する可能性があり、景表法上の問題になります。
パターン2:画像加工ソフトによる肌の修正。シミ・毛穴・シワをデジタル処理で消した「使用後」写真を、実際の使用結果として掲載するケースです。これは虚偽広告に当たります。「イメージ写真」「加工あり」などの注記がなければ特に問題となります。
パターン3:「シミが消えた」「シワがなくなった」という言葉との組み合わせ。ビジュアルだけでなく、キャプション・テロップで「使用後にシミが消えた」という表現を加えることで、薬機法上のNG表現と組み合わさります。ビジュアルと文章がセットで評価される点に注意が必要です。
パターン4:短期間での劇的変化を示す表現。「3日間使用した結果」という前置きとともに劇的な変化を見せるケースです。根拠のある期間設定であっても、変化の程度が化粧品として許容される範囲を超えていれば問題になります。
第四章|Before/After広告を安全に活用するための設計指針
訴求力を保ちながら法的に安全なBefore/After広告を作るための設計指針を整理します。
変化の「種類」を明確にする。シワが消えた・シミがなくなったではなく、「肌のうるおい感が変わった」「化粧ノリが良くなった」など、化粧品効能の範囲内で具体的にどの部分がどう変化したかを明示します。
撮影条件を統一・開示する。使用前後の写真は同一の照明・角度・距離・メイク状態で撮影し、可能であれば「同条件で撮影」「ノーメイク・自然光」などの撮影条件を明記します。
実使用者のリアルな変化を使う。プロモデルではなく実際の使用者の変化を使用する場合、より信頼性が高まります。ただし、その際も変化の内容が薬機法の範囲内であることを確認します。
法的確認を制作フローに組み込む。Before/After素材の確定段階で薬機法専門家によるチェックを入れることが、後からの修正コストを大幅に下げます。
まとめ
Before/After広告は化粧品広告の中でも特に訴求力が高い反面、薬機法・景品表示法の両方から問題になりやすいフォーマットです。「変化の内容が化粧品効能の範囲内か」「写真が実際の結果と一致しているか」という二点を軸に、制作段階からチェック体制を整えることが重要です。
ライジング・コスメティックスでは、Before/After広告を含む化粧品広告の薬機法チェックと表現設計をワンストップで対応しています。
→ Before/After広告の薬機法チェックはこちら
→ サービス詳細はこちら
公開日:2026年 | カテゴリ:薬機法基礎 | 執筆:ライジング・コスメティックス マーケティング戦略室







