薬機法違反で措置命令を受けた化粧品広告の実例と教訓
「自分たちの広告はそこまで問題ないはず」——そう思っていた会社が、ある日突然、消費者庁や都道府県から行政指導・措置命令を受ける。化粧品広告における薬機法・景品表示法違反はけっして他人事ではありません。本記事では、実際に行政から指摘を受けた化粧品広告の類型を整理し、現場への教訓を導きます。
第一章|措置命令とは何か——行政処分の仕組みを理解する
薬機法・景品表示法に違反した広告に対して、消費者庁・都道府県知事・厚生労働大臣は「措置命令」を出すことができます。措置命令とは、違反行為の停止・再発防止のための必要な措置を命じるものです。
措置命令を受けた場合、企業は①違反表示の即時停止、②消費者への周知措置(謝罪広告・返金対応等)、③再発防止策の実施、④報告義務を負います。
さらに2019年の薬機法改正で課徴金制度が導入されたため、違反によって得た売上に対して最大4.5%の課徴金が課される可能性もあります。これは措置命令とは別に科されるため、経済的なダメージは改正前に比べて大幅に増加しています。
措置命令・行政指導の事例は消費者庁のウェブサイトで公開されており、業界関係者にとって重要な情報源になっています。
第二章|実際に指摘された化粧品広告の典型パターン
消費者庁・都道府県の行政指導事例を整理すると、化粧品・健康食品を問わず共通して問題になる表現のパターンが浮かび上がります。
パターン1:シワ・シミ・たるみの「改善・解消」を謳う表現
「たるみが解消される」「シワが目に見えて減少する」など、化粧品として許容される範囲を超えた効能訴求が最も多い指摘パターンです。ビフォーアフター写真と組み合わせることで、さらに問題が深刻になるケースがあります。
パターン2:根拠のない数値表現
「浸透力が2倍」「満足度98%」「使用者の9割が実感」といった数値を、合理的な根拠なく使用しているケースです。消費者庁は「表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料」の提出を求め、提出できない場合は不当表示と判断します。
パターン3:成分の効果を医薬品的に訴求する表現
特定の成分(ヒアルロン酸・レチノール・コラーゲン等)の効果を、医薬品的な治療効果があるかのように訴求するケースです。「コラーゲンが真皮層まで届く」などの表現は、科学的根拠の問題と薬機法上の効能訴求の両方で指摘対象になります。
パターン4:著名人・専門家の推薦を誇大に使用する表現
「〇〇医師が推薦」「〇〇大学研究で実証」などの権威訴求を、実態と異なる形で使用するケースです。推薦の内容・条件・時期を明示せずに使用すると、景品表示法上の優良誤認に該当します。
第三章|「見落としがちな媒体」での違反事例
行政指摘は、テレビCMや大型LP だけでなく、見落としがちな媒体でも発生しています。
SNS投稿・インフルエンサーのPR投稿は、近年特に指導が増えている分野です。インフルエンサーが「#PR」表示なしで「このクリームを使ったらシミが消えた」と投稿した場合、ステルスマーケティングの問題に加え、薬機法上の誇大広告にも該当します。企業がインフルエンサーに誇大表現の投稿をさせた場合、企業側も責任を問われます。
商品レビューサイト・ECのレビュー欄への投稿も規制対象です。企業が従業員や関係者に虚偽の高評価レビューを投稿させる行為は、ステルスマーケティング規制(2023年施行)および景品表示法に違反します。
メールマガジン・LINE配信も広告として薬機法・景表法の規制対象です。「購読者限定でお伝えする効果」として誇大な効能を書いても、それが広告である以上、同様の規制が適用されます。
第四章|行政指導を受けないための予防策
措置命令・行政指導を受けないためには、事後対応より事前の制度設計が重要です。
社内チェック体制の整備として、広告・コンテンツの公開前に薬機法・景表法の観点からのレビュー工程を設けます。チェックリストを整備し、複数人での確認を習慣化します。
外部専門家の活用として、薬機法管理者・コスメ薬機法管理者の資格を持つ専門家によるチェックを制作フローに組み込みます。自社に専門知識を持つ人材がいない場合は外注が最も現実的な選択肢です。
インフルエンサー・広告代理店へのブリーフィングとして、「言ってはいけない表現」を明記した表現ガイドラインを制作・配布します。関与する外部パートナー全員が同じ基準を持つことが、組織全体のリスク低減につながります。
まとめ
薬機法・景品表示法の行政指導事例は、「どのような表現が問題になるか」の最もリアルな教科書です。措置命令は大企業だけでなく中小の化粧品ブランド・ECサイトにも出されており、業界規模に関わらずリスクは存在します。
ライジング・コスメティックスでは、行政指導事例を踏まえた実務的な薬機法チェックと、問題なく訴求力のある表現設計をワンストップで提供しています。
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公開日:2026年 | カテゴリ:薬機法基礎 | 執筆:ライジング・コスメティックス マーケティング戦略室








