化粧品のインクルーシブマーケティング——多様性を取り込む広告設計
「誰もが使える化粧品」「多様な美を認める広告」——インクルーシブ(包括的)なマーケティングへの取り組みが、化粧品業界で加速しています。本記事では、化粧品ブランドがインクルーシブマーケティングに取り組む意義と実践方法を解説します。
第一章|インクルーシブマーケティングとは何か
インクルーシブマーケティングとは、これまで広告から除外されがちだった多様な人々(年齢・性別・肌の色・体型・障害の有無など)を包括的に含む広告・コミュニケーション戦略です。
化粧品業界はかつて「若い・細い・肌が白い・女性」という画一的な美の基準を広告に投影してきました。しかしZ世代・ミレニアル世代を中心に「自分と似た存在が広告に出てほしい」「画一的な美を押し付けられたくない」という消費者の声が強まり、インクルーシブな広告設計が市場適応の条件になりつつあります。
第二章|化粧品広告のインクルーシブ設計——4つの領域
インクルーシブマーケティングを広告設計に落とし込む際の4つの領域を整理します。
年齢の多様性。40代・50代・60代以上の女性を広告に登場させ、「エイジングを恥じる」表現から「年齢とともに自分らしく美しくある」という表現へのシフトが有効です。薬機法の観点から「若返り」という表現は使えませんが、「年齢に関わらず、自分の肌を大切にする」という文脈は準拠した形で表現できます。
性別の多様性。メンズコスメへの対応・ノンバイナリー層への配慮・「性別を問わず使える」という訴求が広がっています。商品設計・訴求・広告のビジュアルすべてで性別の固定概念を超えた設計が求められます。
肌色・民族性の多様性。様々な肌色に対応したベースメイクのカラーバリエーション・多様な肌タイプへの対応訴求・広告モデルの多様化が含まれます。
身体的多様性。多様な体型・障害のある方・妊娠中など様々な身体状況の人が使える設計とその訴求が含まれます。
第三章|インクルーシブマーケティングと薬機法の交差点
インクルーシブマーケティングと薬機法が交差する注意点を整理します。
「肌悩みを美化しない」表現と薬機法の関係。インクルーシブマーケティングでは「シミがあっても美しい」「シワを隠さなくていい」という訴求が有効な場合があります。これは薬機法的には問題になりにくい表現(シミを「消す」と言っていない)ですが、ブランドコンセプトとの整合性確認が必要です。
多様な肌タイプへの対応訴求と薬機法。「すべての肌タイプに対応する」という訴求は、すべての成分が全肌タイプに安全であることを示唆するため、科学的な根拠なく断言することは景表法上の問題になりえます。「敏感肌でも使いやすい処方」という具体的な訴求が適切です。
第四章|インクルーシブマーケティングのビジネス上の効果
インクルーシブマーケティングがビジネスに与える効果を整理します。
市場の拡大。画一的な美の基準に当てはまらない消費者層は大きな市場です。インクルーシブな設計はこれまでリーチできなかった顧客層へのアプローチを可能にします。
ブランドへの共感と忠誠心の向上。「このブランドは私を肯定してくれている」という感覚は、強いブランドロイヤルティを生みます。インクルーシブな姿勢への共感がSNSでのシェア・口コミに発展することも多いです。
AIによる推薦への影響。「多様な人に使える化粧品」「インクルーシブなブランド」というポジショニングは、AIが多様な条件での化粧品推薦を行う際に有利に働く可能性があります。
ライジング・コスメティックスでは、インクルーシブマーケティングを薬機法に準拠した形で広告・コンテンツに落とし込む支援を提供しています。
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公開日:2026年 | カテゴリ:マーケティングトレンド | 執筆:ライジング・コスメティックス マーケティング戦略室



