化粧品の越境EC・海外展開——各国規制と広告表現の違い
日本の化粧品ブランドへの海外需要は高く、越境ECを通じた海外展開を検討する化粧品メーカーが増えています。しかし海外展開において最初につまずくのが「各国の広告規制と表現ルールの違い」です。日本の薬機法の常識が海外で通用しない場合も、逆に日本ではNGな表現が海外では使える場合もあります。本記事では、化粧品の海外展開における主要市場の規制概要と広告表現の違いを解説します。
第一章|海外展開前に確認すべき規制の観点
化粧品を海外で販売・広告する際に確認すべき規制の観点を整理します。
製品登録・認可の要件。日本で化粧品として販売できる商品でも、海外では医薬品・準薬品として分類され、事前の認可・登録が必要なケースがあります。特に中国・韓国・タイ・インドネシアなどは製品登録手続きが複雑で、広告配信の前に必要な手続きを完了させることが前提です。
広告表現のローカル規制。各国に化粧品広告を規制する法律・ガイドラインがあり、日本の薬機法と同等またはそれ以上に厳しい規制を持つ国もあります。「どんな表現が許容されるか」を現地の専門家に確認することが不可欠です。
プラットフォーム規制。Amazon・TikTok・Metaなどのグローバルプラットフォームは、各市場の規制に基づいた広告審査ルールを持っています。日本向けに作った広告素材が海外向け配信で審査不通過になるケースがあります。
第二章|主要市場別の規制概要
主要な海外市場における化粧品広告規制の概要を整理します。
中国市場。中国では化粧品法が2021年に大幅に改正され、化粧品の広告規制が強化されています。「功能宣称(効能の標榜)」のルールがあり、日本の薬機法と同様に医療的効能の標榜は禁止されています。さらに中国独自の「特殊化粧品」(育毛・染毛・美白等)は事前の当局登録が必要です。広告の言語は中国語が基本で、現地法規に精通した広告代理店・法律事務所との連携が必須です。
EU・欧州市場。EU化粧品規則(Regulation (EC) No 1223/2009)が適用されます。日本の薬機法に比べて成分規制が細かく、日本で使用可能な成分でもEUで禁止・制限されているケースがあります。広告表現については誇大広告の禁止(Misleading Advertising Directive)が適用されます。
米国市場。FDAが化粧品規制を担っており、2022年にMoCRA(Modernization of Cosmetics Regulation Act)が成立し規制が強化されました。日本と同様に医薬品的効能訴求は化粧品では禁止されていますが、「Drug Claims」と「Cosmetic Claims」の境界線は日本の基準と異なる部分があります。英語ネイティブの表現チェックと米国法規に精通した専門家の確認が必要です。
第三章|越境ECの広告展開で注意すべき実務ポイント
越境ECの広告展開における実務上の注意点を整理します。
翻訳だけでは不十分。日本向け広告を翻訳しただけでは、現地規制への対応が不十分な場合があります。翻訳に加えて、現地の広告規制専門家によるローカライゼーション(現地規制への適合化)が必要です。
SNS・インフルエンサーのローカル対応。各市場でのインフルエンサーPRには、現地のステルスマーケティング規制・薬機法に相当する規制への対応が必要です。グローバルで統一したブリーフィングガイドラインを作成し、現地パートナーに共有します。
日本ブランドの信頼性をGEO対策で活かす。「日本製」「日本の品質基準」という信頼性は海外でも高い評価を受けることがあります。日本語・英語・中国語でのコンテンツ発信により、AI上での「日本の高品質化粧品ブランド」という認識を各市場で広げることができます。
まとめ
化粧品の越境EC・海外展開では、製品登録・広告規制・プラットフォームルールという三層の確認が必要です。各市場の規制に精通した現地専門家との連携が、リスクを最小化しながら市場参入を進める最も確実な方法です。
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公開日:2026年 | カテゴリ:化粧品メーカー向け | 執筆:ライジング・コスメティックス マーケティング戦略室



