化粧品案件の制作スケジュール設計——薬機法チェックを組み込んだ進行管理
化粧品広告の制作進行で最も多いトラブルのひとつが「薬機法チェックを後回しにしたために、納品直前に大量の修正が発生した」というケースです。スケジュールが追い込まれた状態での薬機法チェックは、修正の質も下がりやすく、クライアントとの信頼関係を損なうリスクがあります。本記事では、薬機法チェックを制作フローに組み込んだ現実的なスケジュール設計を解説します。
第一章|薬機法チェックを「後工程」にしてはいけない理由
多くの代理店で薬機法チェックは「コピーが完成してから」「デザインが上がってから」という後工程に配置されています。しかしこの設計には根本的な問題があります。
コピーが完成した後に「この表現はNG」と指摘された場合、修正はコピーだけでなく、そのコピーを組み込んだデザイン・バナー・動画テロップにも波及します。後工程でのNG指摘ほど、修正コストと時間が大きくなる構造です。
薬機法チェックを前工程に組み込む——つまり「コピーを書く前に表現ルールを確定する」「デザインの前にコピーチェックを完了させる」という設計が、制作全体のコストと品質を最適化します。
第二章|化粧品LP制作の理想的なスケジュール設計
化粧品LPを外注込みで制作する場合の現実的なスケジュール設計を例示します。
フェーズ0(制作着手前・3〜5営業日):ブリーフィングと表現ルールの確定。クライアントへのブリーフィング実施・薬機法上使える表現・使えない表現の確定・参照可能なデータ・素材の収集を行います。このフェーズを省略すると後工程での修正が増えます。
フェーズ1(コピーライティング・5〜7営業日):ワイヤーフレームとコピー初稿の作成。構成案(ワイヤーフレーム)を先に作成し、クライアントの構成承認を得てからコピーライティングに着手します。
フェーズ2(薬機法チェック・2〜3営業日):コピー初稿の薬機法チェック。コピー完成後、デザインに入る前に薬機法チェックを実施します。NG表現の修正・代替案の確定まで完了させます。このフェーズをデザイン後に行うと修正コストが倍増します。
フェーズ3(デザイン・5〜10営業日):薬機法チェック済みのコピーをベースにデザインを進めます。デザイン上でのビジュアルと文言の組み合わせが新たな問題を生む場合があるため、デザイン完成後にも簡易チェックを行います。
フェーズ4(コーディング・3〜5営業日):デザイン承認後にコーディングを進めます。
フェーズ5(最終確認・納品・2〜3営業日):コーディング完了後の最終薬機法確認・クライアント承認・納品。
第三章|SNS広告・バナー制作のスケジュール設計
LPより短い制作期間のSNS広告・バナーでも、薬機法チェックを省略することはできません。
SNS広告・バナーの場合、コピーの文字数が少ない分「一言に強い訴求を込める」設計になりやすく、薬機法NG表現が入り込むリスクが高くなります。短いコピーほど薬機法チェックの重要性は増します。
バナー制作のスケジュール例(合計8〜12営業日)。コピー作成(2日)→薬機法チェック(1日)→デザイン(3〜5日)→クライアント確認・修正(2日)→納品という流れが現実的です。
第四章|スケジュール遅延を防ぐための進行管理のコツ
化粧品案件特有のスケジュール遅延を防ぐための進行管理のポイントを整理します。
薬機法チェックの所要時間をスケジュールに明示的に組み込む。「薬機法チェック:2営業日」という工程を明示することで、クライアントへの説明もしやすくなります。「品質管理のための工程」として説明すると理解を得やすいです。
クライアントへの確認工程にはバッファを設ける。クライアント側の確認に予想以上の時間がかかることは頻繁に起きます。クライアント確認工程には実際の必要時間×1.5のバッファを設けることが現実的です。
修正回数の上限をあらかじめ合意する。「コピー修正は3回まで」という合意を制作前に行うことで、際限のない修正依頼によるスケジュール圧迫を防げます。
まとめ
薬機法チェックを後工程に置く制作フローは、修正コストの増大と品質低下を招きます。「コピーライティング→薬機法チェック→デザイン」という順序を基本として、各フェーズのバッファを含めたリアルなスケジュール設計が、化粧品案件の品質と納期の両立につながります。
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公開日:2026年 | カテゴリ:広告代理店向け | 執筆:ライジング・コスメティックス マーケティング戦略室







