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2026年実際に摘発された事例から学ぶ「やってはいけない表示」

美容・健康業界で広告やLPの制作に関わっていると、「これくらいの誇張は業界的にセーフだろう」という空気に流されそうになる瞬間がある。しかし2026年、消費者庁はエステサロン大手からサプリメーカーまで、業界を問わず着実に措置命令を出し続けている。

この記事では、2026年に実際に発動された措置命令の中から、特に美容・健康・通販業界に関わる人が知っておくべき事例を取り上げ、「何が」「なぜ」違反とされたのかを整理する。

そもそも措置命令とは何か

措置命令とは、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)第7条第1項に基づき、消費者庁長官が事業者に対して行う行政処分だ。主な違反類型は次の2つ。

優良誤認表示(第5条第1号):商品・サービスの品質や内容を実際より著しく優良に見せる表示
有利誤認表示(第5条第2号):価格や取引条件を実際より著しく有利に見せる表示

命令が出ると、事業者は違反の事実を一般消費者に周知し、再発防止策を講じ、その内容を消費者庁に報告する義務を負う。社名や商品名とともに違反内容が公表されるため、ブランドイメージへの打撃は決して小さくない。

 事例1:エステサロン大手3社に共通していた「期限切れなのに同じ割引」

2026年3月25日、消費者庁はエステサロンを運営する3社(ミス・パリ関連2社とスリムビューティハウス)に対し、有利誤認表示を理由とする措置命令を出した。

問題とされたのは、予約サイトのクーポンページに掲載されていた表示だ。「今だけ70%OFF」「有効期限:〇月末日まで」といった文言とともに割引価格を示していたが、実際にはその期限を過ぎて申し込んでも、期限内とまったく同じ割引価格で施術を受けられる状態が続いていた。つまり「今しか受けられないお得な価格」という演出そのものが、事実と異なっていたことになる。

しかも各社は、クーポンの有効期限をひと月ごとに次々と更新しながら、同じ「今だけ」の文言を使い回していた。これは、期間限定訴求を使う際に美容業界が最も陥りやすいパターンと言える。

ポイント:「今だけ」「期間限定」を謳うなら、その期限を過ぎたら本当に条件が変わる状態にしておく必要がある。単なる販促テクニックとして期限を更新し続ける運用は、有利誤認のリスクが極めて高い。

事例2:健康食品メーカーが問われた「ステルスマーケティング」

2026年6月29日、神戸市の健康食品販売会社・高光製薬株式会社が、サプリメント「ノビルン」「ノビルンC」に関する表示でステルスマーケティング告示(第5条第3号)に基づく措置命令を受けた。

この会社は、商品を無償提供したモデルらにSNSへの投稿を依頼し、そのSNS投稿の画像部分を切り出して自社サイトや楽天市場・Yahoo!ショッピングの販売ページに転載していた。元のSNS投稿には依頼を受けた投稿である旨の記載があったが、転載時にはその「PR」表示を外し、「SNSで大人気!」といった形で紹介していた。

これにより、消費者から見ると第三者が自発的に発信した口コミのように見えてしまい、実際には事業者の依頼による宣伝であるという事実が隠されたと判断された。

同様の「SNS投稿の自社サイトへの無断転載型」のステマ事案は、2024年のRIZAPや大正製薬、2025年のロート製薬など、この数年で繰り返し発生しているパターンだ。美容・健康業界でインフルエンサーマーケティングを行う際に、特に注意が必要な典型例といえる。

ポイント:SNS上で「PR」「#提供」と明記されていても、それを自社サイトや通販モールに転載する際にその表示を外してしまうと、たとえ元の投稿では関係性が開示されていても違反になり得る。転載する媒体ごとに、関係性表示が引き継がれているかを必ず確認したい。

番外編:措置命令ではないが見逃せない「アデランス子会社」の自主公表

2026年9月、アデランスの子会社でウィッグを扱うライツフォルが、自社サイト上で過去のステルスマーケティングについて謝罪する事態があった。これは消費者庁による正式な措置命令ではなく、報道をきっかけにした企業側の自主的な公表・謝罪だが、美容業界に関わる人にとって示唆に富む事例なので紹介しておきたい。

問題となったのは2019年6月ごろ、同社がネット広告会社に月15万円を支払い、Yahoo!知恵袋への投稿を依頼していた件だ。広告会社は「薄毛に悩んでいる」という質問を自作自演で投稿し、別アカウントから第三者を装ってライツフォルのかつらを勧める回答を投稿していた。2019年から2026年時点までの間に累計約70件の投稿が行われ、大半はYahoo!側の監視によって削除されていたが、一部は長期間残り続けていた。

重要なのは、この行為が行われた2019年当時、ステルスマーケティング告示(2023年10月施行)はまだ存在しなかったという点だ。つまり法律違反として摘発されたわけではない。しかし消費者庁は、規制施行前の投稿であっても現在なお閲覧可能な状態であれば、依頼した事業者はできる限り修正や削除を試みるべきだという考え方を示している。今回のケースは、その”過去の負債”が何年も経ってから報道により表面化した形だ。

**ポイント**:ステマ告示の施行日より前に行った施策であっても、その痕跡がネット上に残り続けている限りリスクは消えない。過去に外部の広告代理店やインフルエンサーに依頼したQ&Aサイト投稿・口コミ・SNS投稿が、今も検索やSNSで見える状態になっていないか、一度棚卸ししておく価値がある。「昔のことだから」は言い訳にならない。

その他、2026年に見られた摘発の傾向

上記2件以外にも、2026年は次のような措置命令が公表されている。

– 株式会社ゲオストア(2026年6月):スマートフォン・タブレットの買取サービスの取引条件に関する有利誤認表示
– 尿失禁対策用下着の販売事業者2社**(2026年4月):商品表示に関する景品表示法違反
– 「SNOW」アプリの提供事業者2社**:アプリ利用サービスに関する表示の違反

業種はさまざまだが、共通しているのは「表示と実態のズレ」が消費者庁のチェックの対象になっているという点だ。とりわけ、期間限定訴求・口コミの見せ方・取引条件の表示は、美容・健康・通販業界において特に摘発が集中しやすい領域といえる。

美容・健康業界の広告制作で意識すべきこと

これらの事例を踏まえると、LPやSNS投稿、クーポンページを作成する際には次の点をチェックしておきたい。

1. 「今だけ」「期間限定」は本当に期限があるか**:更新し続けて実質無期限になっていないか
2. ビフォーアフターや割引率の根拠は明確か**:実際の提供実績と乖離していないか
3. 口コミ・SNS投稿を転載する際、PR表示は引き継がれているか**:媒体をまたぐと表示が消えがちな点に注意
4. 社内でのダブルチェック体制はあるか**:広告代理店や制作会社に丸投げせず、事業者自身が最終確認する仕組みが求められている

措置命令が出た事業者の多くは、外部の広告作成会社に表示内容の管理を委託していたケースが少なくない。しかし景品表示法上、表示内容の決定に関与している以上、委託先任せにしていたことは免責の理由にはならない。

 まとめ

2026年の摘発事例を見る限り、消費者庁は業種を問わず「表示と実態のギャップ」に一貫して目を光らせている。特に美容・健康業界では、期間限定訴求の使い回しや、SNSマーケティングにおける関係性表示の欠落が繰り返し問題視されている。

自社やクライアントの広告・LP・SNS運用が「今の消費者庁の目線」に照らして大丈夫かどうか、この機会に一度棚卸ししてみることをおすすめしたい。

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参考資料
– 消費者庁「エステティックサロンの運営事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2026年3月26日)
– 消費者庁「高光製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2026年6月29日)
– 消費者庁「景品表示法関連報道発表資料 2026年度」

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公開日:2026年 | カテゴリ:コピーライティング | 執筆:ライジング・コスメティックス マーケティング戦略室